EPC2000とロンドンアグリーメント【欧州】

2008/05/12  知財豆知識 

ヨーロッパ出願Topics EPC2000とロンドンagreement

2007.12.13にEPC2000 ※1(EPC条約の改正条約)が
続いて
2008.5.1に「ロンドンアグリーメント※2
それぞれ発効されました!

※1:何故EPC2008では無くEPC2000かというと
内容自体は、2000年の外交会議で採択済だったためだそうです。
※2:EPCの一部の国による特別取り決め。

これらによって、様々な大改革がされましたが
例えば、次のようなものが挙げられます。

日本語によるEP出願が可能となった(注:2ヶ月後に翻訳必要)。

②いわゆる「拡大された先願の地位」(日本で言う29条の2)が
EPCの指定国の区別なく適用されることとなった。
(注:従来は、審査対象の出願が指定した国と
問題となる先願後公開EP出願の
指定国が一致している国でのみ
先行技術に先願の地位があった)

③第二医薬用途特許について
化合物」としての表現が可能に。
(Use of X for … → X for use for …等でもOKに)

④出願後に、優先権主張の追加・変更補正
が可能となった(注:優先日から16ヶ月以内)。

⑤優先権の基礎となる日本出願の翻訳文は、原則不要。

⑥EP特許成立後でも
EPO(EP特許庁)への一括手続
claimの訂正(減縮・取消のみ)が可能に。
(従来は、成立後は
EP特許(全体)への異議申立に対する防御以外は、
各国毎にする必要があった)

⑦EP出願の、登録関連費用が、大幅に削減できる可能性が。

知財豆知識
今回は、このうち、
ロンドンアグリーメントによる
について簡単にお知らせします。

従来は・・・・

ヨーロッパに出願する際には、
それぞれの国毎に出願することも可能ですが
大体は、(PCT出願等を介して)
ヨーロッパを1つの指定国と見立てて出願
するケースが多いと思います。

そして、この
ヨーロッパを1つの国と見立てて出願
する際のメリットとして
英語にさえ翻訳すれば、EPOで一括審査され、
審査段階では、色々な国の言語に訳する必要が無い
という事が挙げられました。

しかし、このメリットも、審査段階までの話で
最終的には、特許付与後の一定期間内に
各国語に翻訳する必要がありました。

知財豆知識v

そして、この翻訳負担が、ヨーロッパで特許を取得する際の
主な費用負担となっていました。
費用対効果の考慮の結果
せっかくEP特許として成立したのに
泣く泣く、ある国での権利化を諦める・・・・
というような事も、ありました。

知財豆知識

翻訳負担に苦しむ・・・・の図


EPC全体の競争力強化のため
EPの外からも利用し易い特許制度
とする必要が議論されていました。


今回
(2008.5.1~特許付与が公表されるEP特許が対象)
ロンドンアグリーメントに加盟している国 ※3
については、特許付与後
原則、翻訳(全訳)が不要になりました(除:claim)。

※3:2008.2現在で13カ国
(クロアチア,デンマーク,フランス,ドイツ,アイスランド,
ラトビア,リヒテンシュタイン,ルクセンブルク,モナコ,
オランダ,スロベニア,スイス,イギリス)

EP以外の出願人にとっては
経費負担の大幅な節減に!!!
知財豆知識

あれれ?軽くなった!!

但し、逆に
特許になる前の費用負担は
増える可能性
が出てきましたので、ご注意下さい。

下記の日程で
ヨーロッパ出願時(PCTでは、EP移行時)に支払う
超過)claim料金が値上げされますので
ヨーロッパに移行する前に
claimを妥当な数に補正
することを検討すべきでしょう。

2008.4.1以降:クレーム数15を超える毎に、200ユーロ/claimの追加料金
2009.4.1以降:クレーム数50を超える毎に、500ユーロ/claimの追加料金

~ 注意 ~

上記の規定には、
それぞれ、例外もあり、また
適用時期,経過措置等も色々
ケース分けされております。

詳しいことは、別途御確認下さい。


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