その四:たった一度の・・・
2002/10/30 知財部の想い出
今から約10年近くも前のこと
ある発明について特許出願をした。
例によって、新しい技術分野の仕事で、
何とかやり終えたものの、とまどうことも多かった。
そんな時、知財部の先輩から言われた。
“発明者でもあるK部長さんが、君のことをとても褒めていたよ。”
“まぁ、初めてにしては・・・ってことでしょう。
女の子だから、ヨイショして下さったんじゃないですかぁ?”
(と口では謙遜しつつも、内心非常に嬉しい。)
“あの人は、普段は、あまり褒めないし、
ましてお世辞を言うような人じゃないよ。”
知財部にいて良かった!と感じられる瞬間の一つである。
(実は、この話には前ふりがあり
“非常に重要な発明”なので
女の子が担当することに、
非常に危惧を抱いておられる
・・・という噂を、聞いていたのである。)
そのお気持ちに応えるためにも、
次回こそは、初歩的な質問等で迷惑を掛けずに、
本当の意味で良い仕事ができればなぁ
・・・と、決意を新たにしていた矢先。
ご夫婦そろって、阪神大震災の犠牲になってしまわれた。
救済支援活動のおにぎりを握りながら、
(1,2度しか会っていないので)
顔こそはっきりとは覚えていないけれども
自分に、ものすごく ものすごく 自信を与えてくれた
K部長のご冥福を祈った。