“気になる木”はそれぞれで・・・
自分の仕事に関しては
専門家として一家言持っているものである。
私など
トレンディードラマに
特許の話が出てきたりすると
“あらあら、うふふ”
なぁんて喜ぶのと同時に
しっかりと
チェックを入れてしまうクチである。
じり貧の食品工場で開発した
起死回生の商品“○○カレー”。
ライバル他社にレシピを盗まれて
まだ、3日も経っていない設定である筈。
なのに突然
“○○カレーについて
我々は昨日
特許庁で特許を取得しました。“
“そんな訳ないやろ~!”
翌日の特許部内はブーイングの大嵐である。
(放映当時、私はまだ企業にいた)
“特許出願中”を“特許成立”とごっちゃにしてしまうのは
勘違いの典型なので
無理もないことではある。
しかし
綺麗な女優さんがそう言うと
本当っぽく聞こえてしまうから怖い。
先輩などは
“断固、放送局に抗議だ~!”
などと息巻いておられたものだ。
そして
他の業界でも事情は同じようである。
先日、ある会合で
DNA鑑定を専門とする人と話をする機会があった。
やはり
刑事ドラマなどのDNA鑑定のシーンで
結果がでるのがやたら早い
という点が
とっても気になるそうである。
確かに、物理的な検査時間は
技術の進歩により
格段に短縮されているそうだ。
しかし、DNAについては
まだまだ未知の部分が残されており
結果の解析・検証には
じっくりと時間をかける必要がある。
それなのに
数時間後に身元を特定したり
犯人を逮捕してしまうTVドラマのシーンには
あきれ返ってしまうそうである。
これを聞いて、ちよっぴり反省した。
“3日で特許が取れた”と豪語するドラマを見て
冷笑していた私達であるが
3時間のDNA鑑定は
ちっとも不思議とは思わなかったのである。
* * * * * * * * * * *
ところでDNA鑑定の話をもう一つ。
世界を震撼させた事件の
中心人物と目されていた人物が
漸くある民家の洞穴から発見された。
半日も経たぬうちに発表された
“DNA鑑定結果”に
彼ら専門家は仰天したらしい。
“おぃおぃおぃおぃ~!
そんな早く発表して大丈夫かぁ~!?”
しかし、それは笑い話では済まなかった…。
普段の彼らの仕事では
一週間くらいかけて
じっくり検証してから結果を出すのが普通だそうだ。
が
そのニュースのせいで
“お宅の検査、遅いですね”
と言われてしまったのだそうだ。
私も、ドラマ好きのクライアントさんに
“先生に頼むと、なかなか特許になりませんねぇ~・・・・”
と言われる日が来ないことを
祈るばかりの今日この頃である。
(審査請求まだしてないってば~!!)