“気になる木”はそれぞれで・・・

2004/03/21  開業物語 

自分の仕事に関しては
専門家として一家言持っているものである。

私など
トレンディードラマ
特許の話が出てきたりすると
“あらあら、うふふ”
なぁんて喜ぶのと同時に
しっかりと
チェックを入れてしまうクチである。

じり貧の食品工場で開発した
起死回生の商品“○○カレー”。

ライバル他社にレシピを盗まれて
まだ、3日も経っていない設定である筈。

なのに突然
“○○カレーについて
我々は昨日
特許庁で特許を取得しました。“

“そんな訳ないやろ~!”

翌日の特許部内はブーイングの大嵐である。
(放映当時、私はまだ企業にいた)

“特許出願中”を“特許成立”とごっちゃにしてしまうのは
勘違いの典型なので
無理もないことではある。

しかし
綺麗な女優さんがそう言うと
本当っぽく聞こえてしまうから怖い。

先輩などは
“断固、放送局に抗議だ~!”
などと息巻いておられたものだ。

そして
他の業界でも事情は同じようである。

先日、ある会合で
DNA鑑定を専門とする人と話をする機会があった。

やはり
刑事ドラマなどのDNA鑑定のシーンで
結果がでるのがやたら早い
という点が
とっても気になるそうである。

確かに、物理的な検査時間は
技術の進歩により
格段に短縮されているそうだ。

しかし、DNAについては
まだまだ未知の部分が残されており
結果の解析・検証には
じっくりと時間をかける必要がある。

それなのに
数時間後に身元を特定したり
犯人を逮捕してしまうTVドラマのシーンには
あきれ返ってしまうそうである。

これを聞いて、ちよっぴり反省した。

“3日で特許が取れた”と豪語するドラマを見て
冷笑していた私達であるが
3時間のDNA鑑定は
ちっとも不思議とは思わなかったのである。

* * * * * * * * * * *

ところでDNA鑑定の話をもう一つ。

世界を震撼させた事件の
中心人物と目されていた人物が
漸くある民家の洞穴から発見された。

半日も経たぬうちに発表された
“DNA鑑定結果”に
彼ら専門家は仰天したらしい。

“おぃおぃおぃおぃ~!
そんな早く発表して大丈夫かぁ~!?”

しかし、それは笑い話では済まなかった…。

普段の彼らの仕事では
一週間くらいかけて
じっくり検証してから結果を出すのが普通だそうだ。


そのニュースのせいで
“お宅の検査、遅いですね”
と言われてしまったのだそうだ。

私も、ドラマ好きのクライアントさんに
“先生に頼むと、なかなか特許になりませんねぇ~・・・・”
と言われる日が来ないことを
祈るばかりの今日この頃である。
(審査請求まだしてないってば~!!)

“気になる木”はそれぞれで・・・


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