トラウマの克服(知財紙芝居® 大学デビュー物語)
今年になって、急に「知財紙芝居®」の依頼が増えた。
回数を重ねた今となっては、誰も信じてはくれないが
これでも、昔は、講演会等
大勢の前で話すのが苦手だった。
(注:決して無口な方では無い。)
大学生の頃、ある学習塾のような所で
チューターのアルバイトをしていた。
チューターというのは
直接、授業で教えるのでは無い。
生徒の相談に乗ったり
参考となる情報を提供したり。
もっともイメージし易い表現では
授業後の
「黒板消し係のお姉さん」である。
この「お姉さん(orお兄さん)」は、
子供たち(特に高校生)にとっては
非常に微妙な?存在である。
好意的な見方をすれば
先生よりも歳が近くて話しやすい存在。
悪くすれば
「ちょっと先に産まれて
たまたま大学に受かっただけの
ウザイ存在!?」
さて、私の場合、一体・・・・・・!?
チューター生活一年目
ある日の授業後。
オリジナルで、一生懸命作ったプリントを
生徒達に配布する際に
事件は起きた。
授業が終わったら
チュートリング*1なんかどうでも良いから
さっさと帰りたいよ~!!
・・・という子が多い お年頃である。
(*1:チューターの行う「終わりの会」のようなもの)
特に
(高校)受験がやっと終わったばかりで
大学受験なんて、まだまだ実感がわかない
“高校一年生”
に、この傾向は顕著である。
なるべく早く終わってあげるため
(本音→ダラダラやって生徒に嫌われたくない)
最前列の生徒に、頼んでみた。
「このプリント隣の列にも配ってあげてくれない?」
彼は冷めた眼で一言。
私のチューター生活一年目は
これで、「終わって」しまった・・・。
すっかり自信喪失。
アルバイトをもう一年続けるか否かの相談時には
「また一年生の担当だったら
辞めますぅ~(T_T)」
泣き落としで
“最も盛り上がる三年生※2”の担当をゲットした
卑怯な私であった。
(*2:思い込みもあるかもしれない。
が、やはり
大学受験が目前に迫り、本人達にも緊迫感がある分
こちらの熱意も伝わり易く
チュートリングもやり易い傾向があった。)
前置きが長くなったがいよいよ 今回のテーマ「トラウマの克服」の巻!!
ひょんなご縁で
先日、初めて、大学生相手に
「知財紙芝居®(登録商標第4920699号)」
を行うことになった。
正式に授業を受け持つ訳では無い。
一コマだけの
ゲスト講師
としての参加である。
紙芝居でセミナーをやるようになって
(企業の知財部時代から数えると)
足掛け10年以上。
この一年は、特に依頼が増え
全国5,6箇所で
「紙芝居巡業」を行って来た。
し・か・し
・・・・・である。
今回は、2重の意味で
非常にプレッシャーがかかる紙芝居だった。
今までは殆どが
“特許・実用新案”中心の紙芝居。
今回は、芸術系の学生さん達が対象とのことで
“意匠・商標・著作権”中心である。
だが それより何より・・・・・・
良く良く考えると 講義する相手は、
あの、大学時代に、
恐怖にオノノイていた
“若い学生さん”なのである。
(実際にトラウマとなったのは高校生で
今回は大学生という違いはあるのだが・・・)
もちろん、今まで「知財紙芝居®」を披露した聴衆の中にも
若い人は、いただろう。
しかし、たとえ年齢が若くとも
そこは、仕事を持つ社会人のこと。
知財に興味を持っていなくとも
仕事で疲れて、居眠りをしたいと思っていても
お給料を貰い
仕事の一環として参加
している以上
ある程度は、節度を持って聞いてくれる筈・・・
という安心感がある。
ところが、若者(特に学生さん)は、シビアである。
興味が持てない内容だったり
講師に魅力を感じないと
ハッキリとそれが現れてしまう。
20歳のころのアノ苦い経験。
ひるみそうな心に鞭打って
いざ出陣!!!
(自分との戦いのイメージ)
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
講義自体は、持ち時間が
これまでに無く短かった(45分)こともあって
あれよあれよ
と言う間に終わってしまった。
言いたいことは山ほどあったが
時間がとにかく短すぎた。
情報を詰め込みすぎて
却って混乱したのではないか?
学生さんの興味が少しでも惹けたのか?
これまで以上に無我夢中だったので
反応が今ひとつ、分からない。
ただ、終わった後
教室の後で見ていらした
(本物の)講師の先生が
「皆、寝てなかったですね~!!」
と言って下さって
少しホッとした。
(実は、教壇側からは
背筋をしゃんと伸ばしながらも
くっつきそうなマブタと戦っている人が
2,3人、見えていたのだけど・・・(;^_^A)
初めての“意匠・商標・著作権”中心の紙芝居。
悔いの残る点も多く
少々凹んでしまった。
が
その代わり、とても嬉しいコトも・・・・・。
①授業が終わった後、一人の学生さんが話しかけてくれた。
「私も、才能ある周りの友達を サポートする仕事に就きたいです!」
“知財の知識を紹介”することが
講義の本来の目的かも知れない。
でも、このように
知財の仕事自体の魅力
を伝えられたことが
とても、とても、嬉しかった。
②授業の後半(私の講義の後)は、パソコンルームへ移動してのグループワーク。
アイデアやデザイン等を事業化するにあたっては
知財その他、知っておかなければならない様々な事がある。
講義で習ったそれらの知識を活かしての
事業計画書(プレゼン資料)の作製実習。
(これは、通年の授業を通しての課題なので
私の出る幕は、全く無い。)
グループに別れてワイワイと楽しそう。
でも、私の本来の出番はもう終わっているし
なんだか、部外者には入っていけない空気。
多少は、話しかけて見るものの
学生さんも、照れているのか
なかなか会話も弾まない。
一通り教室を見て回った後は
講義疲れもあって
一人離れて椅子に座ってしまった。
・・・・・だけど・・・・
こんな状況で
学生さんと接することのできる機会は
そうそうあるものでは無い。
勇気を振り絞って
もう一度、話しかけて見た。
最初は、学生さんの方も、大人しかったが
だんだんと打ち解けてくれた。
そんな中、あるグループに
質問をしている時のこと。
「最初から、見て貰えますか?」
なんと
お邪魔虫の私の為に
わざわざプレゼンテーションをしてくれたのだ!!
この時、私が、どれほど感激したか。
20年以上前のトラウマを破ってくれたことを
多分、彼らは、全く気づいていないだろう。