米国西海岸訪問記2

2004/10/12  外国知財修行の旅 

スタンフォード大学 vs UCサンディエゴ(TLOもイロイロ)

今回、2箇所の大学TLO ※1 を訪問する機会に恵まれましたが
大学によって、事情も活動内容も異なることに驚きました。
(※1:米国では、OTL等、大学によって独自の名称で呼ばれています)

以下、私の感じた違い等について報告致します。

スタンフォード大学OTL

訪問時に通された応接間(プレゼンルーム?)の壁に掛けられた
数多くの発明プレート。

それは、大学にライセンス収入をもたらした
名誉ある発明と発明者を讃えるものでした。

ミーハーな私は、思わずプレートの写真を撮ってしまいました!

米国西海岸訪問記
(傍らにいる誇らしげな女性はOTL総責任者のかた。とても素敵なかたでした。)

プレートの第一番目に輝いていたのが・・・・

言わずと知れた
コーエン氏とボイヤー氏による
遺伝子組み換えの発明。

これによって、人為的な遺伝子操作ができるようになったという
バイオでは超・有名な発明です。

この発明のライセンス収入は、かなりのもので
スタンフォードOTLの30年の歴史の中でも
数少ないBig Winnerの一つだそうです。

この幸せな成功事例の存在のためか
スタンフォード大学のライセンス活動は
他と比べてかなりスムーズに運営されているようです。

後に報告するUCサンディエゴの同様の組織が
今の日本のTLOに近いのと比べて
かなり理想型に思われました。

中でも印象的だったのは
“知財の基礎教育”
に関するスタンスの違いです。

成功事例を多数輩出してきたこの大学では
追随を夢見る人は
自分からどんどん情報を収集し
自主的に物事を進めるとか。

知財教育は特にしていない。
情報は全てwebで提供しているので
必要な人は自分で勉強すれば良い。

“技術の特許化やベンチャー設立等は
周りに相談するくらいなら
止めた方が良い!

いずれもゴモットモな意見ではありますが・・・。

そう言い切れるのは
Bigな成功事例を持つことによって
優秀な人材が自動的に集まってくる
・・・・という好循環が起こっているためでしょう。

密かに、必殺“特許紙芝居”
を売り込もうとして
特許教育の現状を質問した私は
敢え無く撃沈致しました。

米国西海岸訪問記

米国西海岸訪問記

USサンディエゴ大学Tec TIPS

一方、サンディエゴの方は
軍需産業以外での発展を
強く願っているためか
“地域貢献”という意識が
サンフランシスコ(スタンフォード大学等)とは
比較にならないくらい強いと感じました。

もちろん、スタンフォード大学とは異なり
USサンディエゴが州立大学であるからという事情の違いはありますが。

また、スタンフォードのようなBig Winner
にまだ巡り会っていないためか
特許教育に始まり、ベンチャー設立時の資金援助者の紹介,ライセンス指導まで
かなりこまめなコンサルティングをしているようでした。

スタンフォードOTLのように
自然と発明や人材が集まってくるのが究極の理想型かもしれませんが
まだまだ日本はそこまで追いついていないような気がします。

ここしばらくは、サンディエゴの方が
参考になるのかもしれません。

スタンフォードOTL vs UCサンディエゴTecTIPS

米国西海岸訪問記

後日談:UCサンディエゴでは、特許教育にも力を入れているとのことでしたので
嬉々として帰国後、特許紙芝居(モチロン英語版!)を送りました。

忙しいだろうから返事はいらないが
感想を聞かせてくれると嬉しい。

と書きましたが
未だに反応ナシ・・・・。

やはり、私の英語力では
“皮肉を交えた特許紙芝居のオチ”は
通じなかったようで・・・・(T_T)


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